俺冒1宝

Lv.1:船に乗り旅立った。

 青き空。揺れる旗。遠去かる陸地、白い帆が風に乗っている。ここに使える人は『我こそは』とローラと勇者様を支えてくださる方。己はもう姫ではない。皆に見送られて本当の旅が始まる。「ローラ姫」 すぐ隣で同じ方向をずっと見つめていた彼が静かに己の名…

No.10:光の玉。

「という訳です。使われることはないかもしれないが、また暫く預かって欲しいのです」 導き出した答えを賢者に伝える。「お主らは揃いも揃って無責任だのう」 複数形で語られる。もう片方は恐らく勇者ロトだろう。未来を手渡す選択肢を与えているようで時の…

No.09:ロトの剣。

「あぁ、わかったよ。なぜロトの剣がここにあったか、なぜ虹の賢者がここへ来るように言ったのか」 ここは竜王の玉座。竜王が巨大化したことにより、この部屋の一部が崩れ落ちている。「こんな場所で戦ったのですね」 戦闘の激しさが垣間見えたからか、後方…

No.08:虹の雫。

「雨と太陽が合わさるとき虹の橋ができる」 古い言い伝え。これはロトがこの地に降りる前からある言葉らしい。それに従いロトは賢者に杖と石を託したと言う。「ついでじゃ、これを元あった場所に返しておけ」 投げ渡されたのは太陽の石。扱いが雑だな。国宝…

No.07:妖精の笛。

「そうだ、私が作った」 湖の町リムルダール、古来より湖の島に町を設けることで、外敵から身を守ったと言われている町。そこの宿屋の特別室に住んでいるのは、よしりーん——妖精の笛のありかを教えてくれた老人。「あのゴーレムは人が作り出したのか?」「…

No.06:雨雲の杖。

「そなたが無事に倒したようじゃな」 老人いや賢者は開口一番に目を細めて迎え入れてくれた。ここは温泉の村マイラの西にある雨の祠。雨雲の杖を管理している賢者が住まう所である。「もう一本いるか?」 賢者は宝箱から取り出し、ローラ姫に渡す。「大した…

No.05:ロトの印。

「そうですか、祖父は今までずっと伝説の鎧を守り続けていたのですね」 要塞都市メルギドの南西の隅にゆきのふの孫にあたる人が住んでいる家がある。「私の親はやっとの思いでここまで逃れて来たそうです。幸い店は儲かっていて蓄えもあったので、私は楽な生…

No.04:ロトの鎧。

「ここがドムドーラの町」 姫は無残に廃墟となっている町に呆然と佇む。強い魔物の闊歩は既にもう無いが、荒れ果てた家々は、何も手を加えられずに放置されている。平和になったから再びこの町を復活させようと言う気力は、もう無いのだろう。「あれは…」 …

No.03:銀の竪琴。

「ガライはなぜあそこに町を作ったのだろう」 当時の記録は残っていないらしい。初歩的な疑問が湧いた。海沿いの町で他国との交流は取りやすいかもしれないが、山を隔てる為、南東にあるラダトーム城や北東にあるマイラの村とは交流がやや取りにくい場所であ…

No.02:太陽の石。

 ラダトーム城の死角にある城壁に囲まれた隙間を歩き、池の縁に地下へ降りる階段がある。以前来たときと変わらず薄暗い地下に賢者がいた。「なぜ太陽の石を守っておったかか?」「はい。あのときすぐに追い出されたので、詳しく聞きたいと思ったのです」 詳…

No.01:王女の愛。

 勇者とは何か。勇者とはどうあるべきか。人々は口々に言う。『世界を救う者』『他の人が成し得なかった偉業を成し遂げる人物』『最後の希望』 ——…どれも正解だろう。しかし、役目を果たしたその人はその後どうなったのだろうか?「アレフ様? どうなさ…