からっぽの世界で - 2/2

そして、ただひたすらに想う。

 

 泣き腫らした夜は、終わりを告げる。
唯々囚われた君を助けてる為に動き出す。

 この世の理とは何か。
世界とは何か、今見えているものでも作り出された幻であると、所詮とある大神官が描いが幻想。
破壊の神を崇め、滅びこそ美しいという教えの元。この世界は成り立っている。

創造と破壊。
表裏一体の秩序。

 何もなければ破壊することもできない。
だから作る者が…ビルダーが必要となったのだろうか。
かつて要塞都市メルキドと呼ばれた今は亡き町。
そこの遺跡探索を行なっていた時に魔物にさらわれた。
そして、この幻の大地に降り立った。

 遠い昔、お伽話のように聞かされた勇者なき世界で闇に堕ちたアレフガルドを復活させた伝説のビルダー。
その足跡を辿るように新米ビルダーは島々を探検し、聖地ロンダルキアを目にする事となる。
全ては泡沫、夢の世界。
神をも恐れぬ幾多の幻覚の創造。
己の身を捧げる事で破壊の神の力がその地に宿り、偽りの世界を真とした。

「お前も作りたかったんだろ? お前の理想の世界を」

 壊すだけが目的ではない。
この世界を作り出した意義、それが彼の理想の世界だった。
しかし終わりである。
再び相違した世界を壊すのを阻止する人々によって…。

 シドーの心が切り離され、そして融合する。
世界の破壊は創造への架け橋。
そして、崩壊する世界を再び描き出す。

「お前との出会いが運命だとしたら、その運命とやらは悪くないと思うぜ!」

 ありがとう。
その言葉を紡ぐシドーの顔から笑みが溢れている。
それを見て心底安心した。
己もそうであるように、あの一時の過ちを許してくれて、瞳から流れる雫を止めることが出来ない。

 

「バカだなー。いや、バカなのはオレか」

 オレは『破壊神』そう呼ばれた。
その冠する言葉通り、破壊の衝動が制御できなかった。
あの時は複雑に感情が乱れた。
疑われたという懐疑。
対魔物兵器の威力による己の存在意義の崩壊…。
アイツの楽しそうな姿を見れば見るほど、面白いほどに負の感情に囚われていく思考。

アイツはいつでも手を差し伸べていたというのに…笑って俺を信じてくれていたのに…。
でも、もう大丈夫だ。
オレだって立派に創造できた。

なあそうだろ?
オレはもう破壊するだけの神ではない。

 

「ありがとな。やっぱり、お前は…根っからの…」

 

 END