Lv.5:銅の剣を買った。

「毎度あり、竹槍は5Gで引き取るぜ」
 漸く手に入れた銅の剣。嬉しさのあまりつい掲げてしまう。
これで千人力だと息が荒くなってしまった。
防具も欲しいところだが、所持金が無いので(あの時、半分取られなければ盾ぐらい買えたのに)布の服で妥協する。

 南と東、どちらに行くか悩んだが、さらった奴がいる場所は強そうなイメージがあるので後回し、と言うわけでガライの町から南へと進路を取る。
下ると橋が見えて来た。
各種族の縄張りがあり、橋を越えるごとに強いモンスターが生息しているらしい。
城の兵士からの情報を思い出しながら、歩く。

 橋を渡った瞬間、案の定初のお目にかかるピンク色の蝙蝠——【メイジドラキー】が襲って来た。しかもギラを連発される。
ギラは先日獲得した攻撃魔法の呪文。
その呪文は魔力の練り方が難しく安定した火力を出せないのが欠点である。
しかし、今回【メイジドラキー】のギラがかなり痛い。めちゃくちゃ痛い。一匹は倒すことができたが、次出られたら分からない。
一先ず退避。まだ、こちらに行くには修行が足りない。
そう結論づけて、取り敢えず東へ行くことにした。ローラ姫をさらった奴がいると言われている場所だ。
強い敵がいるのなら即引き返す。
そう心に決めて新天地へと橋を渡る。

 一つ目の橋を渡ったが、まだ陸続きだからか、あまり大差を感じない。
銅の剣のお陰で苦労は少ない。
意気揚々と次の橋に向かって進む。

「まじかよ」
 二つ目の橋を渡った瞬間、黄金色の蠍——【おおさそり】が出迎えた。尻尾回転と体当たりという物理攻撃しかしてこないので【メイジドラキー】に比べるとマシである。
ギラを駆使しつつ倒せた。
これならまだ行ける。そう判断して引き返し時を探りつつ、進む。

「ここはマイラの村です」
 最後は【メイジドラキー】に追い掛けられつつ見つけたのは村であった。
村があることにホッと一息いれて、散策する。
露天風呂があり『りゅうまち』に効くそうだ。竜王への対策になるのかなと片隅で考える。

 ローラ姫の行方は掴めなかったが、ここから南下した所にリムルダールという町があり、魔法の鍵を売っているらしい。
しかし、更に魔物が強くなるので、用心するように言われた。

 所持金が丁度90Gだったため、防具屋により守備強化目的で、皮の盾を購入しつつ、その横でドムドーラの町の東に素晴らしい武器が売っているという情報を入手。
ドムドーラってどこだよ。

 他には【ゴーレム】が妖精の笛で眠るらしい、今後どう役に立つかは不明だが忘れずにいよう。
後、今の剣では竜王が倒せないとか。そりゃそうだろう、今持っているのは銅の剣だ。

 宿屋へ向かい一先ず体を休めようとした。
「いらっしゃいませ。一泊20Gです」
「あ…」
 本日の所持金、先程盾を購入したため0G。
魔力の残りはギラすら撃てない状態、ラダトームの町まで帰る体力が持つか。
買えるっと思って何も考えずに盾を購入してしまった自分が憎い。思わず、天を仰ぐ。

 アレフLv.5よ。ご利用は計画的に。