旅の戦闘

 ククールと合流してから、『ククールの実力を見極める』と言う名目のもと戦闘を開始する。

「現状は、僕がある程度指示を出して戦っている感じかな」
 エイトは簡単に説明する。

 ヤンガスは、兄貴についていきやすの一点張り戦闘に関しては前衛である。
出だしが少し遅いが力強さでごり押しする。
守備力も高いので先手を取られても早々にやられない。

 ゼシカも最初は魔法を気にせず撃っていたが自分の魔力との兼ね合いと視野が狭くなりがちで、素早さはあるも魔法の唱える間は無防備な状態で隙がでやすい。

 エイトは回復攻撃両方を兼ね備えており、回復呪文の量もヤンガスに比べて多い。

その為、現段階の基本スタイルは、エイトがブーメランで一掃し、倒しきれなかったものをヤンガスゼシカが叩く。
モンスターが強い場合、攻撃の合間にエイトが回復に回り、ゼシカ、ヤンガスはテンションを為て、なるべく魔力を消費せず、一掃するようにしている。

「……ふーん。リーダーはエイトってところか」
 今までの経由から、そうだろうなっと思っていたククールではあったが、戦闘中のスタイルを聞いて一番頼りなさそうな奴がリーダーなのかと思う。
「なんだ? 兄貴がリーダーじゃまずいってか?」
「いや、そうじゃないさ」
 食って掛かりそうになられたので慌てて手を振る。
トロデの方を向く。

「ワシは戦わんぞ、その代わり記録を付けてやろう。わしの的確なアドバイスを受けて、今後に役立てるのじゃ!」
「はい、ありがとうございます」
 エイトの返事で機嫌よくした、トロデ王は鼻歌を歌う様に「そうじゃろそうじゃろ」と、頷いていた。

「………」
 人の話聞かないよなこいつっと、思うもエイトの目が少し怖かったので口には出さない。
エイトは温厚そうに見えて、結構な性格かもしれないとククールは思う。

「で、あんたの戦闘スタイルはどうなのよ?」
 一向に話が進まないと、ゼシカは尋ねる。
「あ、あぁ、俺は聖堂騎士団だからな。剣と魔法両方使える。魔法は主に回復と…」
「おぉ! あんちゃんは回復魔法使えるんでげすね」
「それは助かるわね!」
 嬉しそうに紡ぐ言葉に押されて、それ以上言えなかった。
余計なことを言ってしまったかもしれないとククールは思う。

基本回復魔法より武器を使って戦いたいと思うのはエゴだろうか。
だが、どう見てもククールの立ち位置が回復専門という形になりそうで焦る。

「いや、待ってくれ、俺はゼシカを守る騎士になるんだぜ? 剣裁きも見てくれよ」
「あら、杖も扱えるんでしょ? 私も最近杖を装備しだしてから魔力の調子がいいのよ!」
「まぁ、そうだけど…」

 旨く反論できないまま、流されてしまうような気がした。
まぁ、何処かで必要とされているという温かい思いが心をくすぐっている所為かもしれない。
『役立たず』や『不要』『問題児』と言われ続けて来たククールにとって、この歪な集団は全てにおいて、お気楽という言葉が浮かぶ程、優しいオーラで包み込まれていく気がする。

 心のどこかで、融かしてくれるなと叫び声が聞こえる。

奥底にしまい込んだ本当の自分を暴かれそうなそんな恐怖が伸し掛かる。

【END】