Lv.6:賢者を見つけた。

「銀の竪琴?」
「そうじゃ、それを持ってきたら、雨雲の杖を授けよう」
 マイラの村の一度南に迂回した西側に祠がある。
雨の祠と言われており、そこに一人の賢者がいた。
その人の話も長く、要約すると『勇者の力試しに銀の竪琴を持ってこい』と言う話だった。

(どこにあるんだよそれ…)
 音楽といえば、吟遊詩人が作ったって言うガライの町だが、そんな話している奴はいなかった。まだ訪れていない町にあるのかもしれない。
残念ながら、探すのも実力のうちというように祠の爺さん……三賢者の一人は教えてくれなかった。
進んでいるようで全く進んでいないとも言える。取り敢えずは、恐らく三種の神器の一つが貰える場所がわかった。

「……な!?」
 考え事をしていたのがまずかった。
少し、マイラの村周囲での討伐に余裕が出てきたからと、海の向こうに見えた祠なんて場所に調子乗って足を伸ばした無理が祟ったか。
魔力が枯渇してる今、目の前にいるのはこの地域ではレアに現われる強敵——【がいこつ】
殴るってくるだけなのだが、骨しかない体のどこにそんな力がと思う程に、痛い。
認知が遅れた所為で、咄嗟に逃げることも叶わない。ギリギリなのに強くなったと、少しの慢心が仇となった。
過去の同じ失敗を繰り返しているだけに辛い。

「何度目だ?」
「三度目…です」
 視線が痛い。全身に残る疲労感。
城に治療されると言うドジを三度踏むことになるとは、情けないを通り過ぎて死にたい。
王に謁見したくない。
半分取られると言う資金難もだが、何より王の小言が辛い。せめてオブラートに包んでくれと思うが容赦がない。

「うわぁぁぁぁーー!」
 ベッドに俯せに潜り込み布団をかぶる。
まさに穴があったら入りたいとはこの事だ。
 
「死んでしまうとは何事だ!」
 耳が痛い言葉、トボトボとマイラの村を目指して歩く。
二度とすまいと誓ったのに三度目だ。
瀕死後は徹底的に治療されるが、心が朽ちていくそんな気がする。もう無理だと思うのに、気がつくと助けられている状況。
『一時の油断』この言葉が一番当てはまる。この感覚に慣れてはいけない。
常に助けがあるのなら、今まで旅出た者が帰らぬ者になっているはずがない。

 いっそう寂しくなった懐。もう無理はしない。560Gの鉄の斧を買うまでマイラの村周辺で修行する。 

銀の竪琴が何だ。魔法の鍵が何だ。
凄い剣が何だ。ローラ姫救助が何だ。
全て後回しだー!!
 
 ヤケクソ気味に進行の邪魔するモノを切り刻む。

 アレフLv.6は世界の厳しさを知る。