番外編

名もなき故郷

 ここはラダトーム城から南南西にある森の一角。人から存在があまり知られていない場所である。そこにこの地の英雄となった勇者アレフとラダトーム城の姫君であるローラが佇んでいた。 船出の時が近付いてきた時、アレフが旅立ちの挨拶をしたい場所があると…

世界を救う勇者を救う者達。

「間に合わなんだか」 預言者ムツヘタ、いや、精霊ルビスに選ばれし賢者は、ルビスの言葉に従い里を駆けていた。ルビスと契約し、己の時を操り無限の生を得た身でも、身体能力は人とそう変わらない。歩む速度がこれ程までに遅く歯がゆいと思ったことはない。…

王の中の王。

 我が名は竜王。気高き信念を持ち、全ての頂点に君臨する王の中の王。人々が栄え、愚かにも衰退していく様を日々目にしてきた。高貴なる存在。 人々は我を恐れ、機嫌を伺う。我が人間如きに左右される訳がないと言うに…。人間共に分かりやすく言うなれば、…