幼馴染

最上階の眺め

 いつもの時間。兵士達は順番に最上階のベランダで見張りをしている。エイトは、この見張りの場所が好きらしい。美しい庭の花を見ながら見張る下の見張りも好きだが、遠く広がる世界を見渡すこの見張りも好きなんだと教えてくれた。それと…。っと言いかけて…

最高のプレゼント

 キンキンと剣が擦れ鳴り響く訓練所内。エイトはその光景に目を奪われていた。家事一般を統括しているモーラさんに頼まれて予定より遅れてしまったタオルを届けるためだ。本来ならエイトが届けるはずではなかったのだが、皆今夜開かれるパーティで猫の手も借…

夕日と階段

 夕日を見ようと思い、城内を駆け足で歩んでいた。見張りの兵士がミーティアを見ていたがいつものことなのでさほど気にせず重たい扉を開ける。階段から見る夕日はとても好き。1日の終わりを告げているかのようにゆっくりと着実に沈んでいく。下方へ視線を移…

ジャガイモの皮剥き

 今日は誰にも文句を言わせない。だって、ちゃんと宿題も終えたし、きっと夕食まで誰もミーティアを探しに来ない。ということは、それまでエイトと遊べるわけで、今日は庭の花を探索しようと考えながら、エイトがいる場所を探し始めた。 「あら、姫様。今日…

感謝の気持ち

「キャァァァーーーー!!」 ミーティアの声が当たり一面に広がった。その後、必死で名前を呼んでいる。しかし、ミーティアに抱きかかえられる形で少年は背中から肩にかけてできた切傷から血が流し、ぐったりしたまま、動かなかった。 背後では魔法を発動し…

花輪

「姫様! 危のうございます」 一人の兵士が無邪気に走り回る姫に注意を呼び掛ける。「平気よ。聖水を撒いてるから」 注意に耳を傾けず、うきうきした心で花の咲いている泉に向かう。久しぶりに父から許可がおりて行く外の世界。短時間とは言え嬉しくて堪ら…

迷いの森

 目が覚めたとき目の前に見える風景に呆然とした。ここは何処なのか何故こんな所にいるのか、理解できないている。「僕は…」 自分は誰なのかと考えとき、ちゃんと名前が出て来たから安心した。けど、それ以上事は何も思い浮かばなかった。(お腹が空いた……